奥田 ワレタ 役者(クロムモリブデン)
「やっぱり東京へいくべきかなぁ~」と、その夏、私は悩み始めた。
東京進出しようとしていた劇団に、「一緒にいかない?」と誘われたのである。
関西だと劇団に所属せずとも、出る芝居に困ることなく順調だったし、
知り合いも増えたし、『奥田ワレタ』を知ってくれている人も増えたしもったいないか・・・などと、いろいろこっちに留まる事も考えたが、半年以上悩んで結局、以下のような理由で東京行きを決めたのであった。
・東京には、自分を知らない人が見に来てくれている新鮮さがある。
・もっといろんな人と知り合いたい。
・東京で通用しないと意味がないのではないか。
・30歳越えてからでは本当に動けなくなるのではないか。
・テレビや映画に出演できるかもしれない!
・役者として食っていけるチャンスがあるはず!
・このまま「なんとなく」芝居を続けてしまう、良くない演劇人生の「先」が見えた気がする。
・何もやらないより、ちょっと無茶した方が人生として楽しいでしょ。
なーんて事を考えて、東京に出てきて3年。
人が多すぎて萎縮し人見知りしてしまうし、自分の劇団でもなんだか上手く活躍できてない。テレビや映画にちょいっとは出たものの、役のせいもあるのだろうがそんな夢みたいに劇的な事もなく、現場はむしろ現実的であった(舞台上のほうがよっぽど劇的だ!)。
凄いなぁという人も沢山いて、何度も自分の力不足を目の当たりにする。関西とはまた違った意味の、演劇人生の「先」が見えるような気がしてきた。
関西でなんとなく芝居している人間は、やっぱり東京でも「なんとなく」なのだ。当たり前のことだけど!
「身の程を知る」ってことには適している東京です。でも、悪い事ばかりではないのよ。いい演技は身の程を知ってから!行動することに意味あり!
と信じて、もうちょっと頑張るぞ。次の分岐点まで!