スタッフ・ボランティアからのコメント 【平成23年度】 | |
ナビゲーター 砂連尾 理(振付家・ダンサー) | |
からだではなすということ。 「からだではなそう」は、いわゆる知的な理解が異なる人達の集まりなので、画一的なクラス進行は難しいし、 そこにあまり意味はない。だから、画一からほど遠いここでのワークは、ある意味、混沌である。ただここで言 う混沌は決してネガティブな意味ではなく、豊穣と言い換えても良いかもしれない。しかし、この豊穣な混沌は 管理しようとすると立ち所にその豊かさが消えてしまう。 その混沌と管理は相性が良くないからだ。だから、その場に立ち会う人間は管理することを放棄し、即興的に その瞬間瞬間に起こることに身を合わせ、反応できるかを試される。これは関係性についての本質的な問い なので、その対応は、実はとても難しい。そして僕は、この本質とじっくり向き合うため、昨年辺りからワーク終 盤に彼等と毎回30分以上の即興の時間を取り入れるようにしている。そんな混沌の渦巡る、彼等との真剣勝 負に、僕はその大半が戸惑い、ためらいの連続だ。ただ、そこでからだを通して交わしている彼等との対話は、 とてもエキサイティングで幸福な時間でもある。そんな彼等とのからだではなす時間は、人とのこれからの関 係性だけでなく、更に言うなら東日本大震災後の生き方を考える上でも、とても大きな手がかりになるのでは ないかと感じている。 |
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ナビゲーター 伴戸 千雅子(振付家・ダンサー) | |
からだは何でできているのでしょう。骨、筋肉、内臓、脳、血液、神経…、水、空気(酸素、二酸化炭素)、菌…、 感覚、記憶、言葉、イメージ、時間。目に見えるもの、見えないもの。見えたり見えなかったり。そんな不思議な 交差点に「からだ」があるように感じます。 人は人と接することで、自分の形や大きさを感じたり、意識しなかった感覚に気づいたりします。接する人によっ て、大きさも形も感覚も違ってくるでしょう。そして、人は常に変化していますから、同じ人でも時が異なれば、違 う発見があり、無限です。 人はそうやって耕し、耕されることで「からだ」を作っていくのではないかと思います。「からだで話そう」という時間 の中でいろんなことを考えますが、その一つは耕すことの大切さです。 |
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アシスタント 濱見 彰映 | |
この活動を通じて、「人と向き合う」ことについて、改めて考えさせられました。参加者のみなさんと毎回のワーク を重ねていくと、一人ひとりの変化に気づきます。 しかしそれは、変化したものではなくて、彼らが初めから持っていたものだったんだと、最終回を迎え気づかされ ました。 またひとつひとつのワークを通じて、彼らの持つ豊かな時間に、参加できたことはよい経験でした。ことばでは伝 えられない・伝わらないことを、からだで感じる時間をこれからも重ねていきたいと思います。 |
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アシスタント 辻野 恵子(俳優) | |
この一年は一人一人の方との対話に、より重きが置かれた一年だったように思います。みなさんそれぞれの発 想はほんとに豊かです。とてもおもしろいです。前期のみんなの一言をつなげてつくった歌、それをみんなが本 当にうれしそうに歌っていた姿はとても印象的でした。即興の時間もとても楽しかったです。 私、また参加者の方が一方的に何かをするのではなく、ただ一緒にいて、二人で動いていく瞬間が何度かあり ました。本当に感動的でした。新しい人たちとドキドキしながら、またリピーターのみんなと会えるのを楽しみに しながら、それぞれの方と毎回新しく出会っていけたらいいなと思います。 |
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ボランティア 伊藤 真希 | |
このワークショップにかかわる事ができ、彼らにであえた事を本当に嬉しく思います。彼らの繊細で豊かな表現 には感動させられ、ほわっと温かいものを感じて嬉しくなります。ワークショップを通して彼らとかかわって一年 が経ち、力強さの中に強弱が出てきたり、自分の世界を楽しむだけでなく、他者からのアプローチも受け入れた りと、ワークショップへの参加の仕方や他者とのかかわり方がそれぞれ、少しずつ変化しついきました。このワ ークショップを通して、相手認めて向き合う中で、自分の中のもう一人の自分と出会っているのではないかと感 じました。 |
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ボランティア 草本 利枝 | |
みんなで列になったり、新聞紙を破いたり。いろんな動きで伝え合い、カラダを使った遊びをしている人達を撮影 しています。カメラで動きの魅力を捉えるのは難しいけれど、そこが面白い。カメラに写るのが大好きな子や写真 を撮るのが大好きな子もいます。「ボランティア」としてWSの撮影にきていますが、毎回いろんなことをもらってい る気がします。参加者の女の子が最近私の名札シールを書いてくれました。うれしいことに私にも友達が何人か できました。 |
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ボランティア 桑原 徹 | |
「なんとなく面白そう」と軽い好奇心から「からだではなそう」に携わり、1年が経ちました。参加者と向き合い、触れ 合いながら、多くの喜びや気付きを体験しましたが、今最も強く感じるのは、「“参加しない”を“する自由”」がある のだということ。 最初は、私の中で「どう活動に参加してもらおう」という思考が先行し、参加者の手を引くなど、動きを誘導する方 に力が働いていたように思います。 しかし、この空間には、人の輪から距離を置いて座ったり寝たり・・・例えばそのような違いも、彼らの意志・動きの 一つとして認め合える寛容さがあります。 一回一回が私にとって貴重な学びの場であり、参加者や講師の皆さんには本当に感謝しております。 |
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