Skip to main content

⑤【おはりばこ店主】北井 秀昌(きたい ひでまさ) さん

京都市北青少年活動センター

文字の大きさ

掲載日:2012年8月14日

「物づくりに対する想い」

おはりばこ店主: 北井 秀昌


 今回、西陣ひと・まち・もの物語りスタッフは、2回目にインタビューさせていただいた和裁士の服部さんのご紹介で、大徳寺の門前にある「おはりばこ」の北井秀昌さんへインタビューを行いました。「おはりばこ」は主に手作りの和小物を取り扱っていらっしゃるお店です。お寺独特の落ち着いた雰囲気が辺りに漂う中、門前の通りに溶け込むように静かに佇むお店の中に足を踏み入れると、可愛らしい和小物や髪飾りがたくさん置いてありました。京町家独特な造りを活かした「和」の空間に、スピーカーから洋楽が流れるモダンな店内にはゆったりとした時間が流れていました。私達は着物を素敵に着こなされている店主の北井秀昌さんに出迎えていただき、「おはりばこ」や北井さんについてインタビューを開始しました。

 北井さんのお家は元々、おじいさんの代から西陣で糸屋さんを営んでいらっしゃいました。その時から帯締めの加工などをされており物作りの土壌があったため、和小物や髪飾りを取り扱うおはりばこを開かれたそうです。場所を変えずにこの西陣でお店を開かれたのは、工房があるこの場所で、手作りの物を売ることに重きを置いているからとのこと。また、物を売るこということは、商品に対して責任を持つということで、京みやげといっても多くが外国製であり、目に見えない所で作られており、責任が持てないため、お客さんに自分たちの物の想いを伝えるために手作りにこだわっていると語られました。

 また、成人式などの特別な日である「ハレの日」に着物を着るお客さんにとって素敵な一日になるように、特別な日に見合った髪飾りづくりを意識されているそうです。現在、着物を普段に着る人は少なくなってきています。しかし、若者の中にも着物に興味を持ち、実際に着ている人も増加してきているそうです。そんな人たちに、より親しみやすく着物を着てもらうために、間口を広げ、敷居を低くするなど提供する側が工夫することで、着物に関わりやすくするための機会を提供していきたいと語ってくださいました。

 最後に、お店がある西陣地域についてお話を伺いました。近年、西陣織などの衰退によって西陣地域に元気が無いことが懸念されていますが、北井さんがどのように考えていらっしゃるのか伺うと、物(着物・和小物)をつくっている側の着物離れを挙げられました。そのため、北井さんは常日頃から、着物を着るように意識されているそうです。また、隣近所のコミュニケーションが希薄している中、隣近所のおじいさん・おばあさんとお互いにお礼を言い合える、京都らしい程よい距離を保ちながら関わりあえる、いい環境が築けていると、西陣地域の魅力も語っていただきました。

 お店の雰囲気やお話からわかるように、固定観念にとらわれず、柔軟な考えを取り入れることで、昔のものと現代のものをうまく取り入れた物づくりを心がけていると語る北井さんからは物づくりに対する情熱や誇りを感じ取ることができ、その想いが人々を喜ばすことのできる物づくりに繋がっているのだと実感しました。

執筆者:柴田 萌絵(西陣ひとまちスタッフ)



☆他のスタッフの感想

・前々回の服部さんに続き、「おはりばこ」では、日常の小物から、特別な日の小物まで、沢山の種類があり、見ているだけで幸せになりました。「おはりばこ」の特徴でもある、お店と工房が近いことにより、職人とお客様の距離も近くなり、より良い物作りの場となっています。インタビューの後に実際にオーダーメイドのお話をさせていただき、成人式が待ち遠しく感じました。(井上)

☆おはりばこ 連絡先
〒603―8216 京都市北区紫野門前町17


Page Top