2013年12月1日(日)、第2回目の西陣地域の散策、「西陣ぶらりまち歩き」を開催しました。今回は、参加者数名と、西陣ひと・まち・もの語りのスタッフで西陣地域の魅力を再発見しに行きました。私たちスタッフは、日頃、西陣で活躍されている方々にインタビューさせていただいていますが、なかなか西陣地域をゆっくりと味わう機会がありません。一昨年から、西陣の魅力をより深く知るため、また、スタッフだけでなく、より多くの人に西陣地域の魅力を伝えるために企画を始めています。
散策するコースは、3時間くらいを目途として散策できるポイントを絞りました。西陣地域には、歴史ある建造物や寺社、町家などが多くあり、全てを一日で回りきることはとても難しい地域です。なので、西陣地域を代表するような場所に加えて、これまでインタビューさせていただいた場所やスタッフが考える隠れ名所のような場所を散策することにしました。
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【染・四君子工房にて】 | 【織成茶寮前で全員集合!】 |
当日は天候にも恵まれ、絶好の散策日よりとなりました。実際に西陣の地域を散策してみると、多くの「魅力」に出会うことができました。例えば、みなさんは、「鍾馗(しょうき)さん」と呼ばれる置物をご存じでしょうか。「鍾馗(しょうき)さん」は、京都の町家の屋根の上に魔除けの意味合いを込めて置かれています。その他、趣のある路地やお店など、じっくりと周りも見渡しながら歩いてみると、今まで気づかなかった事柄に出会うことができました。
「西陣ぶらり歩き~見て歩いて味わう」というタイトルの通り、ただ見て歩くだけではなく、それぞれの場所に立ち寄り、実際に見て、感じ、地域の方々からお話を伺うことで、じっくりと西陣の地域を味わうことが出来たと思います。
始め、西陣織会館に集合し、西陣織りの着物ショーを見学しました。そのショーはとても華麗で艶やかで、どれほど職人さんの情熱が込められているだろうかと想像しながら見学していました。西陣織会館で着物ショーを見終わった後は、安倍晴明に縁のある清明神社にお参りに行きました。スタッフの片山さんが、一条戻り橋など清明神社にまつわる言い伝えを説明してくださり、清明神社の歴史を感じることができました。その後、今出川通りに面する京都市考古資料館で、ボランティアスタッフの田中さんから展示していた平安京の遺跡から発掘された多数の遺物についてお話を伺いました。遺跡から発掘された物は、「遺物」と呼ぶそうで、板に女性の顔が描かれた出土品が、どこか寂しげで印象的でした。そして、資料館を出た後、大宮通りを北に進み、三上家路地にある「京都西陣蜂蜜専門店ドラート」では、草花や木々から採取した蜂蜜を堪能させていただきました。数種類、試食させていただいたのですが、蜂蜜にこんなにも違いがあるのかという程、味に差異がありました。ぜひ、自分好みの蜂蜜を見つけに行ってみてください。
そして、多くの逸話を持つ本隆寺(火事の時に焼け残ったことから、焼けずの寺と言われているそうです。)を通り抜け、ひっそりと佇んでいる岩神神社に参った後は、「四君子工房」で、伝統工芸士の三浦さんから「ろうけつ染め(※1)」についてお話を伺いました。三浦さんが実際に作られた作品を見せていただきながら、「ろうけつ染め」の魅力や難しさについて教えていただきました。三浦さんがお話のなかで「正解はない。」と仰っていたので、ご自身の仕事に対してとても情熱を感じていらっしゃるのだと思い、仕事ぶりに感心させられました。散策の締めくくりとして、ゆったりとしてくつろげる空間の「織成茶寮」でお抹茶とお菓子をいただきました。織成茶寮を出た時には、既に開始から4時間が経っていました。少し疲れはありましたが、自分で見て、味わって、感じて、聞いて、調べて、五感を働かせる体験が出来て、とても満足した散策となりました。(執筆者:日裏瑠奈) <※1>ろうけつ染め… 一定の温度に溶かした蝋を生地にしみこまる事で、柄を描いた部分が染まらず、周りの部分が染まるという染めの技法の一つ。染みこませた蝋が固まり、ひび割れることで独特な染め上がりとなります。
スタッフ:荒木・片山・西田・日裏、今井・山中(シチズンシップ・スタディーズ)
参加者感想(1人):・知らない京都を見つけられた。約3時間のぶらり歩きなので、途中で座れるポイントがあると良いかも各ポイントの役割分担がとても良く出来ていた。(すごい)ヤバイ!!
スタッフ感想:
・今回まち歩きをして、自分が住んでいるすぐ近くの地域に伝統産業に携わる人がいたり、歴史ある場所があることを知ることができました。また、企画の運営としては、この企画で参加者に何を伝えたいのかを考えることの大切さや、自分たちがしたいと思っていることを人に伝えることの難しさを感じました。(荒木柚乃)
・今回の西陣ぶらりあるきは、参加者いなくて残念に思っていましたが、実際に自分自身に発見が多く充実した時間をすごせました。伝統的な工芸や、京都ならではの寺社、人々とのつながりを感じました。今後、もっともっと多くの人々に京都西陣のよさが伝わるような方法や宣伝を考えていきたいと思います。(片山菜穂)
・西陣織会館で職人さんのお話を伺えたり、考古学資料館でボランティアの方に資料の詳しい説明をしていただいたりと、下見の時にはなかった新たな発見もあって新鮮でした。また、自分が調べたことを初めてそれを聞く人に分かりやすく伝えることの難しさを感じました。スタッフ以外の参加者がいなかったのは残念でしたが、実査しに西陣を歩いて、初めて分かったことも多かったので、有意義な半日だったと思います。(西田拓真)
・今まで何度も西陣地域を巡っていましたが、今回、新たな発見・気づきもありました。西陣地域は知れば知るほど、奥が深いなと感じました。また、計画というのはあくまでも机上の空論なのであって、実際は、計画通りにいかない、ということも実感しました。広報の仕方には課題が残ったと思います。(今井大揮)
・人に説明をすることは難しいなと感じましたし、やはり下見通りにタイムキーパーをするのも難しかったです。そこで柔軟に行動できるようにするのも今後の課題かなと思いました!個人的には、“西陣”を感じながら楽しくまち歩きできたので楽しかったです!!ぜひ、参加者が増えてほしいです。5月とか、新しく大学生になって京都へ来られた人とか…。(山中美穂)
協力:織成茶寮、京都西陣蜂蜜専門店ドラート、染・四君子工房、富坂綜絖店
~当日のスケジュール~ |