ごまのはえ 劇作家・演出家・役者(ニットキャップシアター)
僕にとって分岐点は大学の二回生か三回生の頃になると思う。その頃に卒業して就職をするかこのままお芝居を続けるか考えた。結局続けることにして今に至るんだけど、そのときの決断に何か特別なエピソードはなく、ただ地味に考えていただけである。そのとき何を考えたか、とりあえずそれを書くことにします。
考えたのは自分の欲について。具体的に言うと自分が何を我慢できて何を我慢できないのかを考えたって事。別に「欲」といわず「性格」といっても良いだろうし大げさに「サガ」っていってもいい。とにかく自己分析をしていた。ただ自分が何をしたいのかは正直よくわからなかった。ぼんやりとやりたいことはあったけどそれがどういう職業になるのかいまいちわからなかった。だから逆に自分が我慢できないものは何か考えることにした。
自分の今の生活や将来に対する希望から捨てられるもの、これがなくても我慢できるものは何かを考えた。
車はほしいのか?いろんな女の子といろんなことしたいのか?ハワイとかグアムとか行きたいのか?結婚はしたいのか?もちろん僕も海外旅行には行きたい、でもいけなくても我慢できるかどうかを考えた。答えは我慢できるだった。
結局これがなきゃ我慢できないといえるほどものは案外少なくて、その中で一番大きなものが「人前で何かをやりたい」という欲だった。逆に言えば人前で何かやるためにはたいていのことが我慢できる、僕はそういう人間なんだ。
もちろんそれは自己分析の結果であって百%正しいとは限らないし、将来に関してはどうなるかわからない。でも生きていくのは自分自身なのだし自分はどういう人間なのか、何が我慢できないのかぐらいは分かっといたほうがいい、出来ればそれを人に説明できたらなおいいと思う。
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