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⑳【ローバー都市建築事務所】野村正樹さん

更新日:2013年04月01日(月)

西陣ひと・まち・もの語り⑳
2013年1月24日(木)

「建築にかける情熱―町家に託す思い―」

(ローバー都市建築事務所 代表取締役 野村 正樹さん)

町家の改装に携わっている建築家の野村さんに取材させていただいた。初めてお会いする野村さんは、笑顔の素敵なとても気さくな方で、取材中も始終にこやかにお話してくださった。今回取材させていただいて、野村さんの建築に対する情熱と、古き良きものを後世に残していこうとする強い思いがとても印象的だった。野村さんの事務所であるローバー都市建築事務所は、西陣地域の住宅街にひっそりと佇んでいた。事務所は町家の暖かみを残しながらも、照明や内装に現代のスタイルも取り込まれており、細部にこだわりを感じた。
野村さんは、高校3年生の時から建築家を志し、その出発点となったのは、「建築で自分自身を試してみたい。」という気持ちであったという。その気持ちは、大学生になって、「建築で人の役にたちたい。」と更に強いものへと変化したそうだ。同志社大学では法学を学ぶかたわら、3年生から建築の専門学校へと通い始め、4年生の時に建築事務所でアルバイトとして働き、建築のスキルやノウハウを学ぶ毎日を過ごされた。大学を卒業した後、工業繊維大学の3年生の建築に夜学入学をし、卒業後、アルバイト先の建築事務所に就職された。就職される前に、一か月半、海外へ一人旅をしたというお話も聞くことができた。初めての海外であったにもかかわらず、その日暮らしの旅であったそうだ。フランス南部にあるラトゥーレット修道院の建築に心惹かれたとおっしゃっていた。 野村さんはこの一人旅を通して、建築家として歩んでゆく決意を固めたそうだ。そして、その5年後、独立を果たして個人事務所を設立されている。
また、建築家として成功の秘訣を伺うと、「あきらめないことが、成功へのステップ。何がなんでもやり続けるという思いが原動力。」だとお話してくださった。目標を明確にし、その目標を達成するために必要な行動を起こし、自ら道を切り開いていく力強さを野村さんから感じた。
野村さんは、京都出身の方で、小学生時代は西陣地域で過ごされている。町家の改築に携わるきっかけとなったのは、西陣で過ごした小学校時代の思い出や記憶がきっかけになったとお話してくださった。
遊びに行く友達の家は町家であったり、機織りの音がよく聞こえてきたそうだ。
徐々に取り壊されていく町家を後世に残したいと考えるようになっていた頃、「町家クラブ」の佐野さんと出会い、「町家クラブ」の活動に携わるようになり、本格的に町家の改築をはじめられたそうだ。町家を改築する際に何に気を付けているのかを尋ねると、古い家を安心・安全に住めるようにし、そのうえで次世代に残すことを考える、さらに、快適な空間を作り出すことであり、ライフスタイルを現代に合わせつつも、町家特有のぬくもりを最大限に引き出すことに気をつけているとお話してくださった。また、古いものを良くするにはコツが必要で、長年京都で過ごしてきたからこそ、京都らしい「陰」「繊細」「飾り気ない」などの感性が磨かれ、改築の際には役だっているとおっしゃっていた。
今後の目標として、「京都の良さを発信していくということを続けていきたい」と抱負を語ってくださった。野村さんは、町家の改築だけでなく、新築の設計もなさっている。町家の改築は、値段にこだわらないことがモットーだそうだ。それでも町家の改築に携わるのは、野村さんの町家に対する熱い思いがあるからだろう。これからも西陣地域から、現代に建築と合わさった「京都らしさ」を発信していっていただきたいと感じた。(執筆者 日裏瑠奈)
~その他スタッフの感想~

・京都に生まれ育った故の京都への愛、町屋への愛に溢れた方だなとお会いして思いました。ずっと住んできたからこそ、他の建築とはまた違う空間を創造できるのだと感じました。野村さんの様々な発想を聞くと、後世にも、町屋の建築は古臭さを持たせず、現代的な新しさを含ませながら残っていくのではないかと思いましたし、改めて京都らしい町並みを残すことの意義を確認できました。(赤松)
・家を建てるときは、ローバーさんにお願いしたいです。(神保)
・「お客様にとことん合った提案をする」、「古いものをうまく新しく活用する」というお言葉が印象的でした。野村さんが西陣地域で数多くの物件を手掛け、信頼を得られている理由が、この短いインタビューの間でも非常にわかる気がしました。(早川)

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