演劇ビギナーズユニット2020に寄せて

更新日:2020年06月01日(月)

メッセージ

 26年間続いてきたこの企画において、今回の決断はたいへん苦しいものでありました。

 今年度より新たな演出家として、安住の地の岡本昌也さんをお迎えし、粛々と準備を進めて参りました。
また、年間を通していただく募集開始時期の問い合わせや、過去の受講生ならびにお客さまからのご声援を
今年もたくさん頂きながら、最善の判断はどこにあるのかとあらゆる道を模索いたしました。

 東山青少年活動センターからの言葉にもありますとおり、ビギナーズユニットは、
演劇創作に向かうことにより生まれる、時間をかけた関わり、日常の距離を越えた関わりを、
これまで何よりも大切にして参りました。世情の要請とはいえこれを少しでも省略してしまっては、
私たちが本当に伝えたい集団創作とコミュニケーションの過程がもつ意義が失われてしまいます。
それならば現在の情勢を鑑みる限り、今年度の開催は見送るほかにないと、結論を出すに至りました。

 この空白は、ビギナーズユニットのみならず、私たちの生活全体にとっても、人と人のあいだにおける
「距離」「時間」「関係」「密度」を改めて問い直す日々となるでしょう。
それを糧とし、満を持して次の開催に向けて力を蓄えたいと思います。

 どうぞ今後とも演劇ビギナーズユニットをよろしくお願い申し上げます。

                                  演劇ビギナーズユニット プロデューサー 大熊ねこ

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 今年度より演劇ビギナーズユニットの演出を担当します、岡本昌也です。
京都市東山青少年活動センターからのお知らせにもあるとおり、現在の状況を鑑み
2020年度の開催を見送ることとなりました。

 新しくはじめてみたい!と思ったみなさまと手を合わせて演劇を作る。っていう機会をいただくにあたって、
ぼくは、自分が演劇にはじめてふれた時のことを思い出していました。

 劇場。明かりが落ちて、ざわざわしていた空気はぴんとはり、換気扇の回る音がゆっくり止んでいって、、、
完全に止まる。それから一瞬の静寂?かと思うと、かすかに隣のひとの息遣いや暗やみで服がこすれる音、
に気がついたあたりでふたたび明かりが、今度は舞台上だけに点いて、だれかが舞台に立っている──。

 魔法だと思いました。そこはもう、ここではないどこかだという強い感覚。それでいて確実にいま、
ここに紡がれてゆく物語、目の前で揺らぐ声と身体。
 あの「劇が生まれる」瞬間/感覚をよく覚えています。それから様々なはじまり・形の演劇を見たけれど、
どんな演劇にもやっぱりはじめての「あの感覚」はあって、同時に、それが演劇だけにしかない
特別な瞬間であることはいまでも変わりません。みな、それぞれの「あの感覚」のために劇場へ集まって、
「あの瞬間」を作るために稽古場へ集まるんだと思います、たぶん。

だからどうしても譲れない〝集まる〟ということ。

 で、いま集まれないのなら答えはひとつ、集まれるまで待ちましょう!……という、
すっごいシンプルでポジティブな判断です!
 またみなさまと出会い、集まり、共に過ごす日々がくること、心まちにしています。
そして参加者のみなさまにとっての「あの瞬間」が、公演を楽しみにされているみなさまにとっての
「あの感覚」が生まれるのを、心から祈っています。

                                                       演出 岡本昌也

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演劇の創作は、何年経ってもいつも楽しいです。

面と向かって大きい声を出し合って稽古をする。互いの考えに納得したり疑問をもったり。
たくさんのお客さんの前で本番をする。緊張で手が汗ばんでるけど相手役に触れる。
あ、この人も緊張している。心が動く。お辞儀をして拍手をもらう。

リモートではなかなか起こりえない、人と人が直接関わるからこその大きな喜びです。
そんな“演劇の楽しさ”を心配事がない状態で体験してもらうために、
2020年度のビギナーズユニットは見送りとなりました。

出会いの場が一日でも早く戻り、その時により大きな喜びを起こせるよう、
まず今はグッと力を蓄えましょう。

参加を考えてくれていた皆さん、支えてくださるスタッフさん、観劇を楽しみにしてくださるお客様。
皆様と、何も遠慮なく劇場に集まれる日がきますよう切に願っています。

                                    演出補佐 中村彩乃

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